賃貸経営

土地活用の成功に欠かせない借入れについて賃貸経営の場合を例に考えてみましょう

不動産とお金

定年を迎え、老後を何不自由なく過ごすには2000万以上の資産が必要だといわれている現代日本。そのためいま、様々な方法で資産を増やす人が増えています。

土地活用もその一種です。土地を持っている人はそこにアパートやマンションを建てて家賃収入や売却で得た資産を増やしています。ただ問題は「どうやって土地活用すればいいかわからない人がまだまだ多い」という点です。

そこで今回は、土地活用成功に欠かせない「借り入れ」について解説します。

土地活用成功には借入(ローン)は欠かせない!

土地活用をする際、必ずといっていいほど借入(ローン)の話が出てきます。なぜなら、多くの人が、賃貸経営に適している土地を所有しているけども建物建築資金までは用意できていないからです。

そのため、先に金融機関から融資を受けて、それぞれのローンに応じた方法で月々の返済を行なっていくことが一般的になります。

ちなみに、土地活用に用いられるローンは、主に「不動産担保ローン」と「アパートローン」の2種類に分かれており、それぞれ異なる特徴があります。この記事では主にアパートローンについて解説していくため、ここでしっかりと両者の違いを理解しておきましょう。

不動産担保ローンとは

不動産担保ローンとは、融資を受ける際に、不動産を担保にするローンのことです。

このローンを組む際に知っておくべき大事なことは、住宅ローンとの違いになります。

一般的に住宅ローンは、住宅を購入する場合のみ組むことが可能なローンです。一方、不動産担保ローンは、住宅ローンだけではなく、教育資金や事業用資金、納税資金といった様々な用途で組むことができます。ただ、他のローンと比べて担保の審査が複雑で時間がかかるといったデメリットもあります。

アパートローンとは

アパートローンは不動産担保ローンと違い、賃貸マンション・アパート経営に特化したローンのことです。そのため、融資金を使用する先は賃貸マンション・アパート経営の身と決まっています。

用途が限定される点はデメリットであるものの、金利の面において不動産担保ローンより低く設定されることがあり、組むローンを考える際の大きな差異になります。

もしいまの土地を活用して、賃貸マンション・アパート経営をすると決めているのであれば、アパートローンを選んだ方が、長期的に見て良いかもしれません。

アパートローンは、住宅ローンとは返済原資・制度が異なる

計算

アパートローンには、他にも特徴があります。まず挙げられるのは、返済原資についてです。よくアパートローンは住宅ローンと比べ、借りるハードルが高いと考えられています。その理由は返済原資にあります。

返済原資とは、「金融機関等で借りたお金の返済手段」のことです。

金融機関側は、融資を受ける人の返済手段を把握し、書面にて表してもらう必要があります。詳しくは後述しますが、金融機関によってはそれが融資可否の条件にもなるといわれています。

一般的な住宅ローンの返済原資は、「融資を受ける人の給与」であるため、大企業に勤めている社員や一般・国家公務員、医者など安定してかつ高い給料がもらえる人ほど、金融機関からの評価は高くなります。

しかしアパートローンの場合は、「対象物件の家賃収入」と決められています。そのため、住宅ローンとは融資条件や審査基準が異なるのです。

主に「アパート経営が事業として成り立ちそうか」、「家賃収入だけでローンを返してもらえる可能性はどれくらいか」「アパートの収益性はどれくらいか」といった項目が融資条件として注視され、その評価が高いほど、融資が受けやすくなるのです。

ちなみに収益性の良いアパートとは、「立地がよく、築年数が新しい空室に困らない物件」のことを指します。条件が揃うほど、空室リスクが軽減されるのです。

このように、返済原資が変わるだけで融資の可否を判断する評価材料も変わります。アパートローンの場合、一般的な住宅ローンの返済原資のように数字ではっきり表せられないという点が難しいと考えられている由縁かもしれません。

また他にも、アパートローンに減税支援制度がありません。住宅ローンには、「住宅ローン減税」という制度があり、これによりマイホームを建てるために必要な税金の額を減らすことができました。しかしアパートローンにはないため、この点においても少々ハードルは高いといえるでしょう。

土地活用成功に必要なローンの金利と返済期間

一般的にローンを組むときは、金利と返済期間をしっかり確認したうえで返済計画が立つかどうかを判断します。ローン契約をしてから無理な金利と返済期間であることが判明しないようにするためです。

もちろん、不動産担保ローンとアパートローンにも金利と返済期間が存在します。どの程度なのかをしっかり確認しておきましょう。

金利

まず不動産担保ローンの金利ですが、全体的に低金利で借りやすいという特徴を持っています。大手の銀行の1つ「みずほ銀行」の不動産担保ローンは2020年3月時点で「最大年率1.95%、変動年率0.525%」となっており、1%未満~2%前後で抑えることが可能です。

一方、アパートローンの金利は、金融機関によって差があり、1〜3%程度の幅で設定されているところがほとんどです。またアパートローンに関しては、融資を受ける人の経営実績によって評価基準が変わります。例えば、以前にアパート経営の実績がある人は金利が安く、約1~2%になる傾向にあり、アパート経営実績がない人は1~3%と高くなると考えられています。

返済期間

不動産担保ローンもアパートローンも、返済期間に関してはあまり違いがなく20〜35年が平均と考えられています。

一般的に不動産担保ローンやアパートローンの返済期間は、『法定耐用年数』という建物の寿命から決める税法上耐用年数をもとに期間が定められます。

ちなみに法定耐用年数は、国税庁のホームページにてまとめられており以下のように区分されています。[注1]

構造 耐用年数
木造・合成樹脂造 22年
金属造4㎜越え 34年
金属造3㎜越え4㎜以下 27年
金属造3㎜以下 19年
れんが造・石造・ブロック造 38年
鉄骨鉄筋コンクリート造 47年

ただ、ここで注意しないといけないことは「法定耐用年数=返済期間」ではないということです。むしろ法定耐用年数より短い期間で返済期間を設定されるケースの方が多いといわれています。

また、賃貸経営の実績で返済期間の長短が決まるケースもあるのです。

例えば、アパート経営が初めての人や、実績が乏しいと判断された場合は、返済期間が短縮されるかもしれません。なぜなら返済期間が短いほど総合的な返済額が安くなり、融資を受ける側の負担も軽くなるからです。

しかし、返済期間が短くなる=月々の返済額も増えることになるため、一概に良いとはいえません。もし返済期間の最中にアパートに空室が複数発生してしまったときに、返済金が足りなくなるおそれが出てきます。

アパートローンの審査で考えるべき重要ポイント

計算

土地活用を成功させるには、ローンの融資条件をなるべく高評価でクリアし、各金融機関で設けられた審査基準を通らなければいけません。

以下は、アパートローンで融資してもらうために考えるべき、一般的な審査基準のポイントです。各金融機関で厳しさの度合いは異なりますが、下記のポイントを押さえておけば、審査基準は満たされると考えて良いでしょう。土地活用を成功させる第一歩として覚えておきましょう。

担保価値

一般的な基準として担保価値を考える際は以下を参考にしましょう。

担保対象となる土地と建物の価値 > 借入希望額 ※担保となる土地や建物の価値金額が借入希望額を上回っていること

アパートローンにおいては、融資を受けるとき土地活用の対象になる土地とそこに建てた新築建物に対して抵当権がつけられます。抵当権とは、万が一返済ができない場合に、金融機関が対象なるモノを差し押さえて競売にかけることで残債を回収できるという権利です。

つまり、払えなくなると土地とその上に立つ建物が競売にかけられます。

そのため、借入希望額を決める際は、対象となる土地と建物の評価額を下回っている必要があります。もし抵当権が発動した際、借入額が土地や建物の評価額を上回っていたら残債の回収ができなくなるからです。もし借入額が越えているようであれば、額を減らすか別担保を用意する必要があります。

融資を受ける側の基準

融資を受ける人が収入や生活のレベルがどの程度なのかもポイントとなります。以下を考える基準としましょう。

生計が立つほどの収入があるか、借金の有無、ブラックリストに入っているか

アパートローンは賃貸経営がメインのため事業性ローンに含まれます。

したがって、融資を受ける側の信用力を含めた生活レベルは、当然審査の対象となり、最終的な判断が行われる要因となるでしょう。

もし金融機関のブラックリストに入っている場合は、「信用無し」と判断され融資を受けることは難しいです。

ただ、この審査基準はそこだけを見ているわけではありません。「賃貸経営をはじめて得た賃料収入を、生活費や他の借金の返済等に使われないか」「その結果、返済原資が減ってしまわないか」の2点も重要です。

前述したようにアパートローンの返済原資は「対象物件の家賃収入」であるため、本来なら返済原資として回される収入が他の補填に回ってしまうのは、融資する側としてはマイナスになります。

もし、上記に当てはまるようであれば、事業収支の安全性が損なわれると判断され、融資不可となってしまう可能性があるのです。

事業収支の安全性

事業収支とは、対象の事業で入出する収益と支出のことです。アパートローンに関していえば、返済原資でもある家賃収入がそれに当たります。また安全性とは、ある程度の金利上昇を考慮したとしても返済原資の範囲内で返済が可能かどうかを指す言葉です。

つまり、金融機関で定められた金利上昇リスクで試算をしても家賃収入だけでローンを返済できるかどうかが、ポイントとなります。

一般的に、事業収支の安全性は以下を満たしておく必要があると考えられています。

想定している家賃収入×70~80% > 金利〇%の場合の返済額

前述したように、金利はその時々によって変化するものであり、また金融機関によっても基準が異なるため、各金融機関の基準に従った場合の返済額が想定している家賃収入の70~80%を下回っているかどうかがポイントです。

ここに載せた基準や考え方はあくまで参考程度にすぎませんが、多くの場合はこの審査基準を満たしていれば、通過することが可能です。

また金利や返済期間によって当然に家賃収入に対するローン返済額の割合は変わってきますし、あなたが他の金融資産や土地を持っていればより融資は通りやすくなります。

細かい点に関しては各金融機関に問い合わせてみてください。

様々なアパートローンを比べるときに見るべき10のポイント

見比べる男性

アパートローンを採用している金融機関でもそれぞれ細かい部分に違いがあります。

もしローンを組むことが決まったのであれば、以下のポイントを金融機関ごとに見比べてみると、無理のない返済計画やローン組みができる会社が見つかるでしょう。

金利

前述したように、アパートローンでの場合同じ案件であっても金融機関によって設定している金利が数%異なる場合があります。そのため、総支払額に差が出ることも珍しくありません。アパートローンを組む会社を比べる場合は、それぞれが設定している金利を見てなるべく数値が小さいところを選ぶようにしましょう。

金利は、1%変わるだけで返済利息総額の差は莫大になるためです。

金利固定期間のバランス

一般的に、金利は変動するものと考えます。しかしアパートローンでは金利固定期間というのを設けている場合が多く、これにより「毎月の支払額が試算しやすい」「先を見越した返済額の貯蓄が可能」といったメリットが生まれるのです。

ただ、金利の固定期間が長いということは、金利上昇リスクを抑えることができるものの、設定される金利の単価自体は上がる傾向にあります。そのため、むやみに長期固定金利を選択してしまうのも好ましくありません。

まずは金利を低く抑えられるところ、その後に、どれだけバランスの良い長さで固定したら、余計な利息を支払わずに済むのかを考えながら選ぶようにしましょう。

返済方法

アパートローンの返済方法は「元金均等返済」と「元利均等返済」の2つに分かれます。

それぞれの概要とメリット・デメリットは以下の通りです。

項目 メリット デメリット
元金均等返済 ・返済額(元金+利息)は返済が進むにつれ少なくなる
・元利均等返済に比べて、元金の減少が早いため総返済額は少なくなる
・最初の返済額が多いため最初の負担が元利均等返済と比べて重い
元利均等返済 ・返済額(元金+利息)が一定のため、返済計画が立てやすい
・元金均等返済に比べて、返済開始当初の返済額が少ない
・元金均等返済よりも総返済額が多くなる
・借入金残高の減り方が遅い

金融機関によっては、返済方法がどちらかに限定されている場合もあります。自身の貯蓄額や土地の価値や事業収入の試算を考慮したうえで、どちらが適しているかを考えるようにしましょう。

借入期間

借入期間は、長期で設定するほど総支払い利息が増えます。しかし毎月の返済額は低く抑えられるといったメリットもあります。

また、借入期間は税法上の耐用年数をもとに考えられることが多いため、建物がどのように造られているかで借入期間のベースが変わります。

さらに前述したとおり、いくらその建物自体に長い法定耐用年数が当てはまったとしても、それが借入期間の日数となることはほぼありません。一般的には短くなってしまうと考えておきましょう。

ただ、様々な条件やリスクはあるものの、借入期間は長く設定できるところを選ぶに越したことはありません。

融資額

金融機関によって大きな差が出やすいのは、融資してもらえる金額でしょう。これは融資条件や審査基準が異なることためです。複数の金融機関で融資を申し込むメリットはまさに、ここにあり、どこの金融機関が融資申請を受け入れてくれてかつ金額が大きいかを見比べるためです。

たとえ一社目がダメだったとしても、他の金融機関で受け入れてくれるところがあるかもしれません。必ず複数の金融機関に申請を出すようにしましょう。

審査基準の度合

複数の不動産

前述したように審査の厳しさは、金融機関ごとに異なります。

ただ、比較的良い融資条件の出している金融機関ほど審査基準が厳しいといった傾向はあります。ただアパートローンに関しては案件次第で基準が変わることもあるため、それらを把握するためにも複数の金融機関に申請してみることがおすすめです。

資金使途の範囲

アパートローンは、賃貸経営に特化した融資であるためアパートやマンションの建築や購入にかかる費用は融資してもらえます。

しかし大事なのは他の項目を融資してもらえるかどうかです。賃貸経営を始めるにためには建築費や購入費の他にも「敷地調査費」「物件取得費」「不動産取得税」といった多くの経費が掛かると考えられます。

これら諸経費を、各金融機関が融資の用途として認めてくれるかどうかは、差があるのです。特に不動産取得税に関しては、他の項目と比べ額の大きな税金ですので、認める項目の中に入っていない可能性が高いでしょう。

契約前に必ず、どこまでの用途で資金を活用して良いのか確認をしてください。

繰り上げ返済の可否と手数料

賃貸経営は、不動産売却といった投資方法と比べてかなり長期型の不動産投資です。

したがって契約当初の資金計画だけを算段して終了というわけにはいきません。金利が変動すればそれに合わせた資金計画の見直しは必須ですし、借り換えの検討や条件の見直しなども視野に入れて経営していかないといけません。

金融帰化によっては、金利固定期間中の繰上返済が制限されているところや、見直しの際に多額の手数料が掛かるところもあるため、中長期的な考えを固めたうえで確認をしましょう。

連帯保証人の有無・人数

ローンを組むということは、一時的な借金をすることです。したがってもし返済ができなくなってしまった、経営が上手くいかないといった状況になったときのために「事業継承者」という名目で事実上の連帯保証人を求められます。

法定相続人全員を連帯保証人として要求するところもあれば、「最低〇名以上の法定相続人の連帯保証があればよい」と明記しているところもあり、金融機関によって大きく異なるのが、特徴です。

返済開始時期の融通が利くか

賃貸経営を始めるに至り、いつからローンの返済をするのかはかなり重要です。なぜなら最初から対象のアパートから家賃収入を得られるとは限らないためです。

もし、経営を開始した当初から返済が始まった場合、まだ家賃収入を得ていない家主は自身の貯蓄から支払いをしなくてはいけません。これも金融機関によって対応が分かれており、返済開始時期を遅らせてくれるところもあれば、利息分のみ支払えば元本返済が据え置けるところなど様々です。

自身の預貯金に余裕のない人は必ず確認するようにしましょう。

土地活用で賃貸経営をするなら、まずはアパートローンの知識を深めよう!

土地活用においてローンを組むことは、よほどのことがない限り必須です。

ただし、ローンを組む場合は融資条件や審査基準といった各金融機関で定められたハードルを通過しないといけません。アパートローンを組む場合も同様です。

まずはアパートローンに関する知識を深めて、しっかりとバランスのよい計画的な融資が受けられるようにしましょう。


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