税金対策

不動産の確定申告で得する方法は?家賃や修繕費の扱いは?

不動産と確定申告

不動産を所有している方であれば、その不動産によって収入を得たときに確定申告が必要になるでしょう。確定申告を怠ると、延滞税などが課されることになり余計に税金を納めなければなりません。ですから、忘れずに確定申告を行うことが非常に重要なのです。

しかし不動産の確定申告をする際に、もし節税できる部分があればぜひそうしたいと思うに違いありません。では不動産の確定申告で得する方法があるのか見ていきましょう。

確定申告が必要なケースとは

まず覚えておくべきなのは、どんな状況になったら確定申告が必要になるのかということでしょう。これを知らずにいると確定申告を忘れてしまい、税務署から督促が来る恐れがあります。確定申告は1年間の所得金額に課せられる税金を計算するものなので、毎年行わなければならない人もいればそうでない人もいます。十分な注意が必要なのです。

まずアパートやマンションなどを持っていて家賃収入がある方の場合、不動産所得があるので確定申告しなければなりません。

また家賃収入がなくても、不動産を売却した場合には譲渡所得が発生するのでその年は確定申告が必要になります。

さらに住宅ローンを組んでマイホームを購入した方の場合も、住宅ローン控除を受けるため確定申告を行わなければなりません。

不動産の確定申告は青色申告で

記入

確定申告には青色申告と白色申告とがあります。しかし不動産収入があった場合の確定申告は青色申告で行うのがベストです。この違いを知っているだけでもかなりの節税効果が期待できます。

では青色申告で不動産の確定申告を行うメリットについて見ていきましょう。

青色申告のメリット

所得税は10の区分があり、青色申告が行えるのはそのうちの3つ、事業所得、不動産所得そして山林所得です。

不動産所得があったときに青色申告を行うことにはいくつものメリットがあります。まずは青色申告控除があります。

これは特定の事業規模の人に限り所得から最大65万円を差し引くことができるという控除です。事業規模は、戸建ての家屋を貸している場合には5棟、マンションなどであれば10室を超える規模とされています。

もしそれほど多くの不動産を所有していなかったとしても、最大で10万円が控除されます。

ただし2020年分の所得税の申告からはこの控除額が55万円に引き下げられることが決定しています。とはいえ、電子申告による申請か電子帳簿保存のどちらかを行うと最大控除額が65万円に据置かれることも覚えておきましょう。

さらに少額減価償却資産を一括して経費にできるという大きなメリットもあります。

青色申告の場合、30万円未満の減価償却資産は購入した年に経費として一括で計上できます。これも大きな節税効果を生みます。

加えて、赤字になってしまった場合の純損失の繰り越しができるのも青色申告の特徴です。

たとえばリフォーム代などが高額になってしまった場合、ほかの所得と合算でき、それでも赤字のときには翌年以後3年間にわたって損失を繰り越すことができます。

青色申告の注意点

これほど多くメリットがある青色申告ですが、注意点もあります。

青色申告で控除を受けるためには必ず申告期限内に決算書などの必要書類を提出しなければなりません。期限を過ぎてしまうと事業規模の方であっても最大65万円の控除は受けられなくなります。

加えて2年連続で申告期限を過ぎてしまうと青色申告は取り消されてしまいます。さらに控除前の所得が65万円未満の場合、その所得額を超えて控除はされません。

節税効果を最大限得るためには期限内に申告することがもっとも重要なのです。

不動産所得の計算方法について

計算

不動産の売却や家賃収入によって所得があった場合、その不動産所得の計算方法についても詳しく知っておく必要があります。所得の計算が間違っていれば余計に税金を払うことになったり、申告をやり直さなければならなくなったりするかもしれません。

では不動産所得の計算方法について見ていきましょう。

不動産所得と事業所得の計算方法

不動産を所有していて収入がある場合、事業所得として申告すべきか、不動産所得として確定申告したほうがよいのか分からないという方がいるかもしれません。このふたつの所得計算には異なる点があります。

まず事業所得は不動産による収入金額から売上の原価と必要経費を差し引いたものです。

この場合売上原価には商品の仕入れ金額、必要経費には水道光熱費や消耗品などが含まれています。

一方で不動産所得の計算方法は、総収入金額から必要経費を差し引いたものです。

不動産所得の場合、必要経費には固定資産税や修繕費、損害保険料、減価償却費などが含まれます。

家賃収入は収入、修繕費は必要経費として申告可能

不動産所得の計算で重要なのが必要経費の扱いです。

不動産所得の計算方法に出てくる総収入金額には家賃収入が含まれています。さらに更新料や返還しなくてもよい敷金・礼金、共益費なども総収入に含めて申告しなければなりません。加えて、未払いの家賃も収入として申告しなければならないことを覚えておきましょう。

一方で修繕費は必要経費として申告できます。

この修繕費は非常に幅広く、貸している建物の付属設備、機械装置、車両運搬具など、資産として認識されるものの修理にかかる費用を指します。思わぬものも修繕費として計上することができるので注意が必要です。

一方で建物や部屋の維持管理や修理にかかる費用は修繕費ではなく必要経費の一部として申告します。

不動産による収入の確定申告は不動産所得が有利

節税

こうして不動産所得や事業所得の計算方法を見ていくと、不動産の売却や賃貸によって収入があった場合には不動産所得として申告したほうが有利になることがわかるでしょう。

不動産所得として申告したほうが必要経費として計上できる部分が大きくなるからです。

特に事業規模の方の場合には、65万円の青色申告特別控除が受けられるだけでなく、必要経費も大きくなるので課税対象となる不動産所得を下げることができ、節税になります。

不動産所得の確定申告では「減価償却」に注意

不動産所得の確定申告で難しいポイントとされるのが減価償却です。

青色申告の場合、30万円未満の資産に関しては減価償却処理しなくてもよいのですが、それ以上の価値のある資産は減価償却しなければなりません。

減価償却とは、不動産が時間を経るごとに価値が下がることを見越して、経費を何年かに分けて計上していくという考え方です。

ただし戸建てを賃貸している場合、土地は期間を経ても価値が下がらないので建物だけに減価償却が適用されます。

たとえばある建物を2,000万円で購入した場合、その年に2,000万円を経費として計上するのではなく、定められた減価償却の期間で割って申告します。この建物の耐用年数が20年であれば、1年ごとに100万円ずつ必要経費として計上できます。

耐用年数は資産の種類などによって異なるので、専門家に尋ねてみるとよいでしょう。

ただし土地と建物をまとめて購入した場合、減価償却が適用される建物の価格をいくらに設定するかによって計上できる必要経費が変わってきます。

建物だけでなく電気や水道の設備にも減価償却が適用されます。支出や耐用年数などの要素によって節税できる部分が出てくるかもしれないので、減価償却についてはよく理解しておきたいものです。

確定申告では経費を正確に計上しよう

ガソリン代

確定申告でポイントとなるのが経費の計上です。確定申告において収入や税率は変更することができません。したがって節税できるポイントはいかに多くの経費を申告できるかにかかっているといっても過言ではないのです。

ではどのようなものが経費になるのかを調べていきましょう。もしかすると意外に思えるものが経費として計上できるかもしれません。

旅行交通費

まず確定申告で経費にできるものとして挙げられるのが旅行交通費です。

不動産の売却や管理のために旅行しなければならなかった場合、電車やバスの料金、自動車のガソリン代、駐車場代、ホテル代などは旅行交通費として経費にできます。

ただし不動産に関わる経費だけが計上できることを覚えておきましょう。不動産を所有していない場所への旅行費用などを含めると嘘の申告をしたことになってしまうかもしれません。

支払った税金

意外に思えますが、不動産を所有しているときに支払った税金も経費となります。

具体的には固定資産税、都市計画税、不動産取得税、収入印紙代などは経費となるので、どのような税金を支払ったかはしっかり覚えておくようにしましょう。さらに不動産への投資や管理に自動車を使用している場合、自動車税や重量税なども経費になる可能性があります。

一方で住民税や法人税などは経費にできないので注意が必要です。

保険料

不動産を所有している場合、火災保険や地震保険に加入する必要があります。こうした保険に加入する際の保険料は経費となります。

自動車にかかる費用

不動産の確定申告にも関わらず、自動車にかかる費用も経費にできるものがあります。

不動産投資や管理に使っている自動車に関しては、購入費やメンテナンス費用、自動車税、任意保険の保険料なども経費になります。

ただし不動産の投資や管理のみに使っているのでなければ、家事按分によってどのくらい不動産関連に使ったかを計算します。たとえば購入費用が100万円で、不動産の管理に3割、日常生活に7割使用しているのであれば、30万円が必要経費となります。

通信費

通信にかかった費用

パソコンや携帯電話を購入したりした場合、もし不動産の管理や売買に使用しているのであればこれも経費にできます。これも自動車と同様家事按分が必要になります。電子機器の購入費用だけでなく、プロバイダー料やソフトウェアの購入費用も経費として計算できます。

管理会社への委託料

自分で不動産を管理できない場合、管理会社に委託料を支払って管理してもらうことがあるでしょう。トラブルの解決や清掃などをお願いしておけば、楽に不動産から収入が得られるからです。不動産を売却したときや賃料による収入があった場合、この委託料も経費として計上することが可能です。

管理費や修繕費

もし不動産の管理を管理会社に任せず、自分で行っている場合、清掃や維持管理にかかった費用も経費として計上できます。さらにリフォーム代、設備交換費用などの修繕費も必要経費となります。

ただし修繕費用は今ある設備の修理だけが認められ、新たに建物の性能を向上させる費用は含まれないので注意しましょう。

交際費

これも不動産とそれほど関係ないように思えるものの経費にできるものです。交際費には不動産会社や管理会社との打ち合わせに使った飲食代などが含まれます。不動産屋へ持って行った手土産代なども交際費として計上可能です。

もちろん税務署から指摘されるほど多額の経費は申告できませんし、不動産関連ではない飲食代などを含めた場合には偽りの申告をしたとして罰せられる恐れもあるので注意しましょう。

司法書士や税理士への報酬

不動産を売却したり、家賃収入があったりした場合には司法書士や税理士などの助けを借りて確定申告をするかもしれません。土地の売買などであれば測量士や土地家屋調査士などに報酬を払う必要もあるでしょう。そのようなケースではこうした資格所有者に支払った報酬も経費となります。

経費にできないものもあるので注意が必要

こうしてみると、実にいろいろな出費が経費として申告できることがわかります。

ただし経費にできないものもあるので注意が必要です。たとえば衣装代が挙げられます。不動産会社や管理会社との打ち合わせに着ていくのだから交際費のように経費できそうですが、スーツなどは日常生活でも使用するものであるため経費にすることができません。

さらに自動車の税金やガソリン代は経費にできますが、反則金などは経費として認められません。ただしレッカー代などは経費にできる場合もあります。

どの出費が経費になるのか分からない場合には、税理士などに尋ねて正確な申告を行うよう心がけましょう。

過剰な経費の計上に注意

不動産の確定申告で得する方法のひとつは経費の計上であることが分かりました。しかしこの経費の計上には注意点があります。それが過剰な経費の計上は逆にデメリットになり得るという点です。不動産の売却や家賃収入による確定申告では非常にさまざまな支出が経費として認められます。

となると、どんどんと経費を使えば不動産所得が少なくなり結果として節税になるのではないかと思うことでしょう。確かに短期的に見れば不動産所得が圧縮されて支払う税金は少なくなります。

ただしこれは将来的に融資を受けることを考えると不利な状態です。金融機関は融資の可否を検討する際に、不動産による所得をひとつの基準とします。あまりに多くの経費を計上して不動産所得を少なくしてしまうと、金融機関の評価は下がってしまうでしょう。

金融機関からすればもっと不動産所得があってもいいはずなのに、そうなっていないのには何か理由があるのではないかと判断されてしまうかもしれません。

やはりどの支出を経費とするのか、どのくらいまでを経費として計上するのかというポイントは税務の専門家にアドバイスを求めるのがよいでしょう。

何かの経費が突出して多い場合には税務署からチェックが入ることもあるので、正確で合理的な確定申告を行うことが重要です。

法人設立も節税策のひとつ

法人設立届

確定申告においては青色申告や経費の計上などの節税策がありますが、法人化して不動産を管理するのも節税のひとつの方法です。家賃収入がある場合にはこの方法が特に有効です。

不動産会社を設立し、家賃収入を役員の報酬とすれば、かなりの節税効果が得られます。加えて家族を会社の役員として、家賃収入を分散すればより大きな節税となります。

法人を設立したうえで小規模企業共済に加入するのもひとつの方法です。月額最高7万円の掛け金がすべて所得控除の対象となります。

法人の設立は現時点での節税だけでなく、将来的には相続税対策ともなるので、長く不動産収入を得ようと思っているのであれば法人を作ることを検討するとよいかもしれません。

ただし法人の設立には費用も掛かりますし、法人税の支払いも必要になります。本当にメリットがあるのかどうかを慎重に検討してから会社を作るかどうかを決めるようにしましょう。

不動産収入の確定申告は専門家のアドバイスを求めよう

不動産収入がある方の場合、確定申告の際の節税方法は非常に多くあります。ただし申告方法の選択、どの経費を計上すればもっとも大きな効果を得られるかなど、専門的な問題もあるので自分だけで確定申告をするのは困難です。必要な場合にはためらうことなく税理士などの専門家にアドバイスを求め、最大の効果が得られるように努力を払うようにしましょう。

また、最寄りの税務署や青色申告会などでもご相談にのってもらえますし、売却を検討する場合には不動産会社が、活用を検討する場合には建築会社等が信頼できる専門家を紹介してくれたり、無料税務相談会などもしていますので参加してみるのもいいでしょう


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