土地活用の基礎知識

売却のみとは限らない!共有名義の不動産を上手に活用するには?

共有名義の不動産

私たちが普段利用している土地には、その土地が誰のものであるかを示す名義というものが存在します。基本的には、一つの土地に対して名義は一つであることが一般的なのですが、土地を相続した際などに共有名義という複数の人間が同じ土地の名義人になる場合があります。

普通に考えると、共有名義の土地というのは、土地の利用方法や運営などを複数人が行うことになるため、意思決定が難しいなどのデメリットがあるように感じられます。

確かにそのような側面も持ち合わせているのですが、共有名義で土地を利用すると、有効な点もたくさん存在します。この記事では、土地を共有名義で利用する場合の上手な活用方法とそのメリットについてご紹介いたします。

共有名義で土地を活用するメリット

コスト削減

共有名義で土地を活用するとどのようなメリットがあるのでしょうか。単独名義ではなく、あえて共有名義とすることで、次のようなメリットがあります。順番に見ていきましょう。

他人の土地を買取る必要がないためコストが削減できる

そもそも、共有名義の土地というのは、相続の際に親族や関係者が名義人となる権利を得ている土地ということです。つまり、自分のものでもありながら、他の人のものでもあるのです。これを単独名義にするためには、他の人の持分の買取を行わなければなりません。

これが二人くらいの共有名義の土地であれば、そこまでコストはかかりませんが、多くの人が名義を持っている場合、かなり膨大なコストがかかってしまいます。

わざわざ土地の名義を手に入れるということは、マンション経営をするような土地活用を行うということです。土地活用には、多額の資金が必要になるため、単独名義に変えるためにあまり高額な費用が必要になるのは望ましくありません。土地活用をする際に十分な費用がなくなってしまっては本末転倒です。

共有名義のまま土地を維持しておけば、土地活用にその分の資金を回すことができるため、単独名義よりも共有名義のほうが現実的な方法といえるでしょう。

広い土地をそのまま利用できる

土地の買取を行わず、単独名義に変更する方法があります。それが分筆です。文筆とは、相続された土地を共有名義者の人数で分け合い、それぞれが単独名義を持つ方法です。

たとえば、300平米の土地を3人で分け合えば、1人100平米になります。このように、与えられた土地を分け合えば、単独名義で土地を活用し、買取にかかる費用も発生しないため、コストを抑えることができます。しかし、この方法にも問題はあります。

それは、与えられた土地をそのまま活用できないという点です。土地はそのすべてが平等の価値を持っているとは限りません。たとえば、300平米の土地なら100平米ずつ平等の価値を持っているわけではなく、傾斜が激しい箇所、地盤が不安定な箇所など、場所によって土地の価値は変わります。そんな土地で土地活用を行おうと思っても、うまくいくはずがありません。また、土地というのは広いほうが好まれます。

マンションやアパートを建てるのであれば、駐車場が広い、建物が大きいところに住みたいと感じるでしょう。広い土地に立っている建物というのは、それだけで不動産的に価値が上がるのです。ところが、分筆を行って土地を分割してしまうと、個人名義にはなりますが、それぞれが活用できる土地の面積は小さくなるため土地活用の選択肢が狭まってしまいます。土地活用ができないようでは、分筆しても意味がありません。

都心など元々の土地面積が狭い場所で土地活用をする場合は、隣地の所有者を巻き込んで共同で行う場合もあります。それくらい、広い土地というのは価値があるので、それをわざわざ捨てる必要はないでしょう。

どのように土地活用を行うか

不動産と電卓

共有名義をそのままにしておくことの利点は説明しましたが、共有名義となった土地をうまく活用しなくては意味がありません。やはり、単独名義の土地とは同じようにいかない部分が多々あるので、注意しておきましょう。

共有名義の土地には3つの権利形態がある

共有名義の土地には3つの管理形態があります。「共有」「区分」「借地」の3つがあり、共有名義の土地全体のうちどれくらいが自分の管理範囲かを示すために用いられます。

共有

まずは「共有」です。共有は3つのなかで最もシンプルな方法で、その土地に建てた建物の管理割合を土地の割合と共有するという管理方法です。たとえば、Aさんが全体の土地の50%の所有権、Bさんが30%の所有権、Cさんが20%の所有権を持っていたとしましょう。この場合、この土地を管理するために多くお金を支払う必要があるのはAさんです。

しかし、ここに建物を建てて土地活用を行った場合、建物の建設にかかる費用もAさんが多く払う必要がありますが、Aさんが最も建物の所有権を得ることができるのです。土地の所有権の比率と建物の所有権の比率を合わせるのが、共有という管理形態です。

もちろん、土地活用によって収入が入ってくる場合、このケースだと全体の半分がAさんの利益となるので、どれくらい自分が所有権を持つかは状況によりますが、多く収益を得たいと考えている人は、なるべく所有権の割合を多くするようにしましょう。

区分

次に「区分」です。これは建物を区分ごとに分けて、所有権を得るという方法です。たとえば、共有名義の土地の所有権をきっちり三等分したとしましょう。この場合、先ほどの共有の管理形態に基づくと、建物の所有権も三等分にする必要があります。この三等分を建物の区分で行うという方法です。区分というのは主に階層で利用されることが多いでしょう。

6階建ての建物を三等分するのであれば、1〜2階、3〜4階、5〜6階といったように所有権を持つことができるのです。一見、共有と似た管理形態に思えますが、実は大きく異なる点があります。それは、階層によって独立した単独共有であるという点です。共有の場合、所有権の割合のみが決まっているため、リフォームなどを行う際は、共有名義の人全員に許可を得る必要があります。

その時にかかる費用も、所有権の割合で折半して、支払う必要があるため自分単独で行動をする必要はできません。しかし、区分の管理形態で1〜2階を管理することが決まったならば、このフロアはもう自分の単独所有の土地と同じ扱いをすることができるのです。

リフォームをしたり、部屋を売買したりなどする際に、他の共有名義の人間に許可を取る必要がありません。あらかじめ、報告だけをしておけば何も問題ないのです。しかし、リフォームなどにかかる費用はすべて自分で支払う必要があるため注意しましょう。

この場合の家賃収入はフロアによって分けるのが一般的なので、建てる建物によっては階層によって価値が異なるかもしれません。そこは共有名義の人間同士でよく話し合いましょう。

借地

最後に「借地」です。土地活用というのは、資産形成の手段として非常に有用なのですが、誰もがやりたいと考えるわけではありません。共有名義の人間が全て土地活用に積極的ではないこともあるのです。そんなときにおすすめなのが「借地」という方法です。この方法は、まず土地の所有権の割合を決め、建物を建てます。

この建物を土地活用を行う人物一人の単独所有とする方法が借地です。しかし、土地は他の共有名義者が所有権を持っているため、完全に単独所有というわけにはいきません。そこで借地権を発行し、一定額を土地の使用料として他の共有名義者に支払うことが必要になります。この金額は土地の値段に依存してくるため、一概には言えません。

「共有」で管理した場合、どのようなメリットがあるのか

共有

建物を「共有」で管理した場合は、どのようなメリットがあるのでしょうか。

家賃の差がなくなる

建物を共有で管理した場合は、建物のすべての事柄に関して、所有権を決められた割合ずつ持つことになるので不平等が一切発生しません。階層によって日当たりなどに差がある場合、どうしても貸しやすい部屋と貸しにくい部屋が出てきてしまいます。

この部屋ごとの価値の差を、具体的な金額で定めるのは困難なため、たとえ日当たりの悪い部屋ばかりの所有権を持っていたとしても、他の共有名義者と同じ金額支払わなくてはいけないのが一般的です。しかし、共有で管理した場合は、その日当たりの悪い部屋でさえも、所有権の割合に基づいて管理を行うことになるため、全ての共有名義者が同じメリットとデメリットを享受することになります。

つまり、不平等が一切生まれず、家賃収入に差が生まれないのです。共有名義者はある種、運命共同体ともなるので不公平感が生まれにくいこの管理形態は大きなメリットといえるでしょう。

一元的な運営ができる

一元的な運営ができるというのも大きなメリットです。たとえば、オフィスビルを運営しているとしましょう。その際、オフィスビルのテナントを募集する必要があります。テナントは自分が事務所を入れたいフロアを借りようとしますが、それが1フロアのみとは限りません。2〜5フロアにまたがって、借りようとする可能性も大いにありえます。

この際に、フロアごとに単独名義となっている区分の管理形態だと、フロア管理者それぞれがテナントに貸し出すかどうかを判断しなくてはいけません。一方がよくても、一方がダメだと判断したら、フロアを貸し出すことができないのです。共有名義者は運命共同体ではあるものの、同じ価値観を持っているとは限りません。

他の共有名義者が首を縦に振らないばかりに、自分の土地活用がうまくいかないことが考えられます。これが共有だった場合は、全てのフロアの所有権を持っているため、一元的な運営を行うことが可能なのです。こういったメリットも共有で管理する強みです。

相続によって共有者がさらに増える可能性がある

もちろん、デメリットも存在します。

共有名義の物件を相続する際に、さらに名義人が多数存在すると、共有者は枝分かれ式に増え続けていきます。これはあまり望ましいことではなく、共有名義者が無数に増え続けることで、物件の管理などがしづらくなります。

全員が平等に物件に対する所有権を持っているため、共有名義者が多すぎると収集がつきません。この場合は、どこかのタイミングで単独名義に切り替えるようにしましょう。

「区分」で管理した場合、どのようなメリットがあるのか

区分

建物を「区分」で管理した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。

売却しやすい

区分所有をしていると、自分が所有しているフロアに関しては、自由に売却を行うことができます。この手放しやすさは、非常に魅力的で市場性を高める要因となっています。土地活用は常にうまくいくとは限りません。一定の収益を望めないのであれば、見限ることも必要です。

その際に、共有で管理している物件だと全員の同意が必要になるため、他の共有管理者がまだ土地活用の見込みがあると判断すれば、売却することができません。マンションなどを購入したいと考える方は多いですが、その多くが区分管理された一部を購入するという方法です。

不動産投資の需要が高まるにつれ、この区分管理の需要も増加しているといえます。

意思決定が容易

リフォームや売却など、物件に関してありとあらゆる意思決定が容易というのもメリットです。あまり土地活用に積極的ではない人間と共有と建物を管理してしまった場合、老朽化対策などのリフォームを快く思わない可能性があります。

土地活用のためには物件を良好な状態に保つことは必要不可欠なのですが、それを快諾してもらえないのではどうしようもありません。そういった管理者同士での問題が発生しづらいというのは、区分で管理するメリットでしょう。

管理規約は必須

区分で管理をする際は、トラブルを避けるために管理規約を設けるようにしましょう。この管理規約というのは、共有部分の管理をどのようにするか定めたものです。たとえば、エレベーターは全てのフロアの住人が利用するものです。そのエレベーターのメンテナンス費用はどうするかなど、共有部分の扱いを明記しておきましょう。

建物は屋内だけではなく、外壁の補修も必要になる場合があります。その際の工事費用はどうするか、実施のタイミングはどうするか、など実際に建物を建てる前に決めておかなくてはいけないことはたくさんあります。こういった手間が多い点は、ある種デメリットともいえるでしょう。

また、この管理規約は誰かがフロアの所有権を売却して、新しい管理者になったときも有効なので、それを見越して漏れがないよう詳細に定めておきましょう。

「借地」で管理した場合、どのようなメリットがあるのか

借地

「借地」で管理した場合は、どのようなメリットがあるのでしょうか。

自分一人で意思決定ができる

借地の唯一無二のメリットは、扱いが単独名義とほぼ同じという点です。全ての意思決定を一人で行う上に、他の共有名義者から文句を言われることもありません。他の共有名義者は、何もせずとも一定の収入を得ることができるので、同意を得やすいのです。

地代が重くなることも

土地活用に長けた人であればさほど問題ではありませんが、慣れておらず利益があまり見込めない人は地代を払うのが苦しくなる場合があります。土地活用の方法も自分で変更できるので、大幅な損失になることは少ないですが、何があるかわかりません。

この先の収益が少ないと判断したら、物件を売却するなど手段を取りましょう。この地代というのは、一般的の固定資産税の3倍です。払うのが難しければ、負債となる前に対抗策を施すようにしましょう。

いずれは単独所有にしよう

単独所有にすることができない最大の理由は、他の人の土地を買い取るだけの資金がないという点です。土地活用により、その資金を得ることができたならばいずれは単独所有にして運営することを検討しましょう。共有所有のままだと、相続の際に問題が発生する可能性が多くなります。いずれは単独所有にすることを見越したうえで、共有名義の不動産を上手に活用しましょう。


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