土地活用に関わる法律

急な相続に備えて!不動産の相続手続きと費用のあれこれ

相続

不動産の相続手続きは法律が絡む問題のため、敬遠している方も多いでしょう。死亡届の提出から戸籍謄本収集、遺産分割協議書の作成など、やるべきことが多く、大変なことは確かです。

しかし、急な相続に備えて、手続きの方法を勉強しておきましょう。

本記事では、不動産の相続手続きで行うべきことや、費用について解説しています。

相続手続きで行うべきこと

葬儀

親や兄弟が亡くなると、葬儀の手続きや遺産の相続手続きなどに奔走することになります。とくに、不動産相続の手続きは、法律に関するものであり、かつ大きな財産が絡むため、難しいと感じる人も多いです。

そこで、以下に不動産相続の際に行うべき5つのことを列挙しています。最低限これらの項目を押さえておけば、親族に急な訃報が訪れても慌てることがなくなります。

  • 死亡届の提出
  • 遺言書の確認
  • 相続人の戸籍謄本の収集
  • 遺産分割協議書の作成
  • そのほかの書類の準備

相続手続きで一番最初に行うべきことは、「死亡届の提出」と「遺言書の確認」です。死亡届は提出期限が法律で定められており、親族の死亡後に速やかに申請しなければなりません。一方、遺言書の確認は期限が決められている訳ではありませんが、相続手続きの流れが遺言書の有無によって変化するため、初めに確認しておくべきでしょう。

遺産相続手続きでは、さまざまな書類を用意する必要がありますが、「相続人の戸籍謄本」と「遺産分割協議書」の2つは特に注意が必要です。なぜなら、これらの書類の準備はほかの書類に比べ手間取ることが多いからです。

以下で、各項目をさらに深堀して解説いたします。

死亡届の提出

死亡届は、故人の死後7日以内に提出するようにと法律で定められているため、迅速に手続きを済ませましょう。なお、国外で死亡した場合は、30日以内に提出すれば大丈夫です。

死亡届の申請手続きは、市町村役場で行えます。ただし、故人が息を引き取った場所、故人の本籍地、申請者の住所や所在地にある役場での申請となります。死亡届の申請は、年中無休で行われています。

死亡届では、以下の内容を記入します。

  • 死亡届の提出日
  • 故人の氏名、生年月日、住所、本籍
  • 配偶者に関する情報
  • 故人の職業
  • 申請者に関する情報
  • 連絡のつく問い合わせ先
  • 火葬場に関する情報

遺言書の確認

遺言書

遺言書の有無によって、後に行う不動産相続手続きの流れが変わる恐れがあります。そのため、相続手続きを行う前に故人の遺言書の有無を調べておくべきでしょう。

遺言書は多くの場合、公証役場に保存されています。ゆえに、遺言書を探す際は、まずは最寄りの公証役場に問い合わせてみることをおすすめします。

問い合わせ先は必ずしも故人の住まいの公証役場である必要はありません。各地域の公証役場は相互に繋がっており、どこの役場からでも故人の遺言書の有無を確認できるからです。

公証役場は秘密保持の義務を負っており、誰に対しても情報を開示してくれる訳ではありません。公証役場へ訪れる際は、法定相続人、もしくはその代理人が足を運ぶようにしてください。

自筆証書遺言の場合、公証役場へ足を運んでも見つけ出すことはできません。自筆証書遺言の保管場所は人それぞれ異なりますが、故人の自宅や知人に預けているケースが多いです。自宅に保管している場合は、遺品整理を行う過程で見つけることができるでしょう。知人に預けている場合は、挨拶回りの際に遺言書についての情報も尋ねてみましょう。

発見した自筆証書遺言は、勝手に開封してはいけません。法的に罰せられる恐れがあります。

また、自分の都合のよい内容に書き換えたのではないのかとほかの相続人から疑われ、関係が悪化するといったことも起こりえます。自筆証書遺言は発見したら、手を加えず家庭裁判所へ持ち込むようにしましょう。

戸籍謄本の収集

相続人が誰なのかを特定するために、相続人の戸籍謄本を収集する必要があります。不動産相続の手続きにおいては、相続税の申告や不動産の登記の際に戸籍謄本が要求されるので、早めに準備しておくことをおすすめします。

また、被相続人、すなわち故人の戸籍謄本も用意する必要があります。故人の戸籍謄本は、被相続人は誰の元で生まれたのか、家族構成はどうなっていたのか、配偶者や子供はいたのかなどの情報を確認するために必要です。つまり、故人の出生から死亡に至るまでのすべての戸籍謄本を集めることになります。

収集する戸籍謄本は1通とは限りません。法改正前に作成された改製原戸籍や、除籍謄本も集めることになるので、思いのほか作成に手間取ることになるでしょう。そのため、戸籍謄本の収集は、早めに行うべきです。

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議書とは、各相続人に対する遺産の取り分をまとめた書類のことです。相続人同士の話し合いにより書き記す内容が決まります。遺産分割協議書は、相続人同士のトラブルを未然に防ぐ上で重要な役割を果たします。特に、不動産の登記手続き、相続税の申告手続きで役立つので、相続手続きを行う前に用意しておきましょう。

なお、相続人が1人の場合や、遺言書に遺産の分配方法が明記されている場合、故人の遺産が現金や預金のみの場合では、遺産分割協議書を準備する必要はありません。

遺産分割協議書は、インターネットや書籍などにあるテンプレートを参考にして自作できます。しかし、中にはテンプレートを見ても作れそうにないと感じる方もいるでしょう。そのような方は、弁護士や司法書士などの法律の専門家に依頼するとよいです。

また、遺産の配分で相続人同士で揉めている場合、故人の遺産が多く煩雑な場合、相続人の続柄などが複雑な場合も法律の専門家に依頼するのが無難でしょう。

そのほかの書類の準備

戸籍謄本や遺産分割協議書のほかに、以下の書類も不動産相続手続きで必要になります。これらの書類は、自分で用意することもできますが、自信がない方は司法書士などに依頼するとよいです。

  • 相続人の印鑑証明
  • 被相続人の住民票の除票
  • 不動産の登記事項証明書
  • 相続人の住民票
  • 固定資産評価証明書

相続人が複数人の場合の不動産の相続方法

家系図

相続人が1人である場合は、不動産相続でトラブルに発展することはありません。一方、相続人が複数人の場合、たとえ親族同士であってもお金が絡む問題のため、揉め事に発展することも少なくありません。

そのため、複数人で不動産を相続する場合は、相続人間で不動産をどのように分割するのか話し合う必要があります。

以下では、不動産の4つの分割方法をご紹介します。

みんなで不動産を共有する

故人の不動産は、相続人の共有財産という形で相続されます。不動産を相続人で共有する場合、遺産の分割について話し合う必要がないため、手続きが楽です。しかし、後々に不動産の売却を行う場合、相続人全員の同意を得る必要があり、資産の管理が面倒です。

また、相続人間で意見の相違が生じると、親族間のトラブルに発展しやすいというデメリットも存在します。

土地を分割して相続する

土地を相続する場合は、土地を分割して相続することが可能です。このような相続形態であれば、将来的に土地を売却することになっても、ほかの相続人の了承を得る必要がないため、共有資産として相続する場合のように親族間のトラブルに発展することは少ないでしょう。

しかし、土地の敷地面積が小さい場合は、相続人で分割すると、各々が所有する土地が小さく利用価値のないものになりかねません。そのため、小さめの土地を相続する場合は、別の方法を採ることをおすすめします。

不動産を売却して分割する

不動産の形態だと資産の分割が困難な場合が多々あります。そこで、不動産を売却し、それで得た現金を相続人に分配するといった方法もよく行われます。この方法では、土地を分割する場合とは違い、小さな土地であろうと問題ありません。

しかし、不動産の買い手が見つからなければ、この方法は実行できません。この点はデメリットといえるでしょう。

不動産は所有しているだけで税金が発生するなど、管理が面倒です。一方、現金ならば、初めに税の手続きなどを済ませれば、その後は煩わしい手続きや管理に悩まされることはありません。ゆえに、住居や不動産投資に利用する考えがないのであれば、現金化してしまうのがよいでしょう。

不動産と現金の両方で分割する

相続人の一部が不動産を所有し、残りの相続人には現金を分配するといった方法もよく行われます。このような分割方法を代償分割と呼びます。

代償分割は、相続人の間で不動産として遺産を相続したい派の人と、現金で遺産を相続したい派の人に分かれた場合に有効です。

このように相続人同士で意見が真っ2つに分かれることは珍しくありません。

例えば、家族の思い出の家を残したいという考えの人は、不動産の形で遺産を相続することを望みます。一方、遺産をすぐに有効に活用したい、自身の生活や家族のために使いたいという考えの人は、不動産を現金化することを望みます。

どちらの考えも至極全うなものであり、このような意見の食い違いが親族間で生じることは、別段珍しいことではないと理解できるでしょう。

不動産の名義変更について

手続き

不動産の名義変更手続きでは、故人の名義となっている不動産を相続人の名義へと変更します。このような名義変更手続きは、相続登記といった名称で呼ばれることもあります。相続登記の手続きは、相続人で遺産の分割方法を話し合ったうえで行います。一般的には、遺産分割協議書を作成した後に行われます。

なお、相続登記申請の期限は特に設けられてはおらず、必ず行わなければならない手続きという訳ではありません。

相続登記(名義変更)を行う意義

上述の通り、相続登記の手続きは義務ではありません。しかし、相続登記手続きを行わずにいると、不利益を被る可能性があります。そのため、特別な理由がない限り、相続登記手続きは迅速に行うべきです。

相続登記の手続きを行わないデメリットの一つとして、「不動産の売却ができない」という点がよく挙げられます。

不動産の売却では、その不動産を所有していることを証明しなければなりません。しかし、相続登記を行っていない場合、不動産の所有者であることを証明できないため、物件を売り払うことはできません。また、不動産を担保にして現金を捻出するといったことも相続登記が未完了の状態では行えません。このように、資産の管理が困難な状態を維持しておくのは不便なので、相続登記は必ず行うべきでしょう。

なお、相続登記の手続きを後回しにしていると、手続き自体が困難になり、資産を思うように動かせなくなることもあります。ゆえに、相続登記はすぐに行う必要があります。

例えば、相続登記の手続きを何十年も後回しにしていると、その期間に相続人が亡くなってしまうといった事態が起こりえます。このようなケースの場合、亡くなった相続人に対する相続人を探し出し、相続登記手続きへの協力を仰ぐことになります。

つまり、手続きを後回しにすればするほどに協力を仰ぐべき人が増え、手続きが煩雑になります。最悪なケースでは、相続人を探し出すこと自体が困難となり、相続登記手続きが上手く行えない、という事態になることがあります。

このように、相続登記の手続きを放置していると、二進も三進も行かない状態になりかねません。なるべく早めに実行しましょう。

相続登記の方法

相続登記は、司法書士などの法律の専門家に任せてもよいですが、自分ですべての手続きを行うことも可能です。手続きは、最寄りの法務局や市町村役場で行います。

基本的に、窓口の指示通りのことを行えば手続きは問題なく行えるでしょう。しかし、1回で完璧な書類を準備できる人は少ないです。大抵の場合、記入漏れや記入ミスなどの不備により、何度か窓口を訪ねることになり、仕事をしながらだと大変な作業です。

専門家に代行する場合は、10万円前後と決して手の届かない金額ではありません。忙しくて手続きに時間が割けない方は、すべての作業を任せることを検討してみてもよいでしょう。

相続登記で準備すべきもの

相続登記の手続きに要する書類は、法務局、もしくは市町村役場で取得します。具体的には、以下の6つの書類を準備します。

  • 登記事項証明書
  • 故人の住民票の除票
  • 故人のすべての戸籍謄本
  • 相続人全員分の戸籍謄本
  • 不動産を相続する相続人の住民票
  • 固定資産評価証明書

なお、遺言書がない場合は、これらの書類に加え、相続人全員分の印鑑証明書、遺産分割協議書を作成しなければなりません。

不動産相続でかかる費用

不動産とお金

ここでは、不動産を相続することで発生する費用についてまとめてご紹介します。

名義変更にかかる費用

不動産の名義変更手続きでは、「登録免許税」と「書類作成にかかる費用」の2つの費用がかかります。

登録免許税とは、相続登記の手続きを行う際に発生する税金です。登録免許税での徴収額は、不動産の固定資産税評価額の0.4%と定められています。例えば、固定資産税評価額が5,000万円であれば20万円となります。

書類作成にかかる費用とは、具体的には戸籍謄本や印鑑証明などの書類を発行する際にかかる手数料のことを指します。手数料は1部数百円程度なので、すべての書類を発行しても数千円程度でしょう。

なお、書類作成を司法書士などの法律の専門家に依頼する場合は、代行手数料として10万円程度かかります。

不動産取得税

不動産取得税とは、文字通り不動産を取得した際に発生する税金です。徴収額は、固定資産税評価額の3%と法律で定められています。遺言書により法定相続人でない方が不動産を相続する際は、この不動産取得税を支払う必要があります。

なお、法定相続人の方は、不動産取得税を支払う必要はありません。

固定資産税

固定資産税とは、土地や建物を保有している方が毎年支払う税金です。固定資産税は、固定資産税評価額に標準税率を乗じた額を納付します。

固定資産税評価額とは、国が告示する固定資産評価基準を基に市町村が算出した物件の評価額です。一般に、固定資産税評価額は、予想される土地の売却値よりも低い価格が設定されます。

標準税率は、地方税法で定められており、基本的には1.4%に設定されています。ただし、地域によってはもっと高い税率が設定されている場合もあるので、ご自身の住まいの標準税率を調べるようにしましょう。

譲渡所得税

相続した不動産を譲渡すると、譲渡所得税が発生します。譲渡所得税は、不動産の所有期間によりその額が変動します。5年以上保有していた場合は、国に支払う所得税と地方自治体に支払う住民税の計20.315%分が徴収されます。

なお、相続により不動産を入手した場合は、税金の優遇措置が受けられる場合があります。

相続税

遺産を相続する際に発生する税金が相続税で、不動産を相続する際も当然徴収されます。不動産の場合、相続税は路線価格を基に算出された相続税評価額に対してかかります。

実際の計算では、算出した相続税評価額とそのほかの財産を合算し、その合計額に対し相続税が算出されます。

なお、相続税には、基礎控除枠が用意されており、相続人全員で相続する資産の評価額がこの控除額を下回るのであれば、相続税を支払う必要はありません。相続税の基礎控除額は、「3,000万円+600万円×法定相続人の人数」で求めることができます。

例えば、法定相続人が3名の場合は、「基礎控除額=3,000万円+600万円×3人=4,800万円」となり、被相続人が所有していた全資産の評価額が4,800万円以下であれば相続税は発生しません。

話がまとまらない場合は専門家へ相談しよう

今回は不動産の相続手続きと、費用について解説しました。不動産の相続手続きでは、とくに遺産分割協議書の作成で苦労することが多いです。なぜなら、遺産分割協議書の作成作業では、相続人間でどのように遺産を分割するのか決定しなければならず、金銭が絡むがゆえに揉め事に発展することも多々あるからです。

このように親族間のトラブルに発展した場合は、弁護士や司法書士などの第3者を介入させることで上手く解決できます。自分達の力だけでは話をまとめることができないと感じたら、親族間だけで問題を抱えずに、専門家への相談も検討しましょう。

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