アパート経営

アパート経営を法人化するメリットは節税と社会的地位の獲得

アパート経営法人化

年間の所得が900万円を越えている人がアパート経営を法人化すると、個人で不動産業を営んでいるときよりも所得税や住民税等を節税することができます。ただ、年収が900万円を下回っている場合は、法人化することでかえって損をしてしまう場合もあるので注意しましょう。

会社の設立にはお金がかかりますし、定款などを作る必要もあります。法人化したほうがお得な場合もあれば、そうでないケースもあるので、アパート経営を法人化するべきタイミングやメリットを押さえておきましょう。

アパート経営を拡大していきたい人、年収900万円を越えている人、将来的に法人化したいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。

年間の所得が900万円を越えるなら法人化したほうが税金を安くできる

収入

年間の所得が900万円を越えている場合、アパート経営を個人でするより法人化したほうが納税額を安くすることができます。

個人でアパート経営をしている場合、「所得」に応じた「所得税」と「住民税」の納税が必要です。所得とは、年間の家賃収入という「売り上げ」から、所有している物件の維持・管理に使ったお金、物件の減価償却費といった「経費」を差し引いたもの。所得に対して一定の税率をかけ、納税額を決めています。

ただ、個人の所得税率は、所得が増えれば増えるほど税率も高くなる累進課税方式です。収入によって所得税率が5%から45%まで変動するため、稼げば稼ぐほど税の負担が大きくなっていきます。

その点、2018年の4月1日以降に設立した法人の法人税率は、23.2%です。法人税以外にかかる「法人住民税」や「地方法人税」などを合わせても、税率は29.74%。

個人の所得税率は、年収900万円以下で23%、年収900万円オーバーで33%になります。年間の所得が900万円を越えると、法人税率が所得税率を下回るため、法人化したほうが税を安くすることができるのです。

役員報酬を活用すればさらなる節税も可能

アパート経営を法人化すると、代表である自身に対して支払う給料や役員報酬を、会社の経費として処理できるようになります。

税金は基本的に利益の出た部分に対してかかるため、不動産収入の利益をすべて自分に役員報酬という形で経費にしてしまえば、法人所得はゼロ。当然、法人税もかかりません。

また、会社から自分に報酬を支払うという形式にした場合、「給与所得控除」を利用可能です。年収1,000万円以上の場合、給与所得控除は上限額の220万円。仮に、会社の純利益1,000万円を役員報酬として全額経費にすれば、給与所得控除で所得を780万円まで圧縮することができます。

納税額の計算や段取りは複雑になってしまいますが、法人化すると役員報酬等を使った様々な手段で節税できるためお得です。

家族を役員にすれば相続税の節税も可能

不動産相続

家族を役員にして役員報酬を渡すことで、将来発生するはずだった相続税を節税することもできます。

相続税の最高税率は、55%です。会社や自分の口座に資産を溜め込んでおくと、将来自分が亡くなったときに莫大な相続税がかかってしまいます。しかし、生前に税金がかからない範囲で財産を家族に渡しておけば、相続税の負担を軽減できるのです。

利用するのは、給与や役員報酬。家族を社員や役員にして、年間の収入が103万円(基礎控除38万円+給与所得控除65万円)以下になるよう報酬を支払えば、実質非課税で財産を分割できます。

自分以外の人間に報酬として利益を吐き出すことで会社の課税所得も減らせるので、法人税も節税できて一石二鳥です。財産を残したい家族がいる場合は、役員報酬等を活用しましょう。

社会保険料や出張費用など経費にできるものが増える

個人に比べて、法人は経費にできるものが多いです。例えば、個人事業主として本業でアパート経営をしている場合、社会保険には入れません。

しかし、法人化すると社会保険の加入義務が生じるため、会社のお金で社会保険や厚生年金に加入できるのです。サラリーマンをしていてすでに社会保険に加入している場合でも、役員のために会社がかけた保険の保険料は全額経費として処理できます。

また、個人でアパート経営をしている場合、経費にできるのはよくある建築会社の賃貸経営セミナーや勉強会などの「直接不動産の運営に関係する出費」だけですが、法人化して会議費や出張費用等のルールを定めてしまえば、出張費用等を経費にすることも可能です。

事業を拡大するために会社のお金で遠方の不動産会社まで出向いたり、出張中の飲食費や宿泊費用を経費で落としたりできると、事業の幅も広がります。経費をうまく使って、自身の給与や役員報酬を節約しましょう。

アパート経営の赤字を最大9年繰り越すことができる

アパート経営を法人化した場合、不動産経営で発生した数字上の赤字を最大9年繰り越すことができます。個人でも、青色申告の届けを出して帳簿をつけていれば赤字を繰り越しできますが、期間は最大で3年です。

アパート経営では、新しいアパートの購入費用やリフォームに数百万円から数千万円の経費をかけることも少なくありません。赤字を繰り越せば、数年間法人税等を節税しつつ会社にお金を残すことができます。つまり数字上の利益を減らすことで税務面でのメリットを得ながら実際の手元に入ってくる収入を増やす事が出来るのです。

アパート経営を事業として後継者に引き継ぎやすい

アパートの引き継ぎ

アパート経営を軌道に乗せ、不動産収入だけで生活できるようになると、「自分の事業を子どもに引き継がせたい」「会社にして自分の業績を残したい」といった考えを持つ人は多いです。

アパート経営を個人でやっている場合、事業としてアパート経営を引き継がせるのは簡単ではありません。

自分の好きなようにできるからこそ、お金の流れが不透明になっていたり、住民からの問い合わせやクレームにどう対応したのか記録を残していなかったりする可能性もあるからです。

不動産が個人の所有物だと、後継者に譲る際に譲渡しても売っても税金や手数料がかかってしまうという問題もあります。

アパート経営を法人化しておけば、取引内容やお金の管理がずさんだと監査等が入ったときに罰則を受けてしまうので、自然と金銭の流れや記録の保存もしっかりとしたものになりやすいです。

また、アパートの所有権を会社に移しておけば、代表の地位を後継者に譲り渡すだけで事業や財産を任せることができます。

「社長」の肩書きがあると銀行から融資を受けやすくなる

アパート経営事業の拡大には、新しいアパートの購入が必要です。すべての物件をキャッシュで購入できればお金の管理は楽ですが、マンションに比べて価格の安いアパートでも一棟1,000万円以上することを考えると、現実的とはいえません。

そのため、個人でも法人でも、物件を増やすときはお金を借りるのが一般的です。ただ、個人の資金力や信用では借りられる額に限りがあります。一個人だと社会的な信用があまりないため、融資額が大きく審査の厳しい銀行にいっても融資を断られてしまうことが多いです。

その点、アパート経営を法人化していれば、たとえ在籍者が自分一人でも肩書きは「代表取締役」になります。

法人として、長く事業を続けるのは簡単なことではありません。だからこそ、社長という肩書きには社会的なステータスがあるのです。

会社を経営しているという実績は、銀行に融資の相談をする際にも役に立ちます。事業の拡大を考えているなら、法人化を目指しましょう。また事業の拡大を続けていると銀行にとってもお得意様になるので、金利等も通常より優遇してもらえるかもしれません。

法人の維持管理というデメリットも

一方で、勿論賃貸経営を法人化する事に対してメリットのみではなくデメリットもあります。次からそのデメリットも述べていきますのでしっかりデメリットも把握した上で法人化するか考えましょう。

法人設立の為の費用

法人化する際には法人申請の登録免許税、法人設立には必須の定款の公証人による認証費用、実印・社印の作成費用、お任せする行政書士や司法書士への報酬等で設立費用がかかります。

またそれまで個人で所有していた不動産を法人へと譲渡する場合には不動産取得税が発生したり、譲渡所得税がかかる可能性があり、その際の登記費用なども考える必要があります。事前に士業の先生へ相談した方が良いでしょう。

帳簿作成等の事務作業や確定申告の手間がかかる

個人での不動産活用でも法人でも確定申告が必要ですが、法人として法人税を納める際には簿記の知識や財務諸表等の書類作成をしなければならないので個人で行う方は手間がかかります。税理士の先生にお任せする際にはやはり費用がかかってくるので注意しましょう。

地方税の支払いが必須になる

法人として支払う税金の法人税等には法人税・法人事業税・法人住民税の3つがあります。前2つは所得がある場合に課税されますが法人住民税に限っては変わってきます。

法人住民税の場合には法人の収益が赤字であっても、納付義務があります。納付金額については各都道府県によっても変わりますが東京都であれば最低7万円からとなっています。

法人としての資金運用が求められる

個人では家賃収入等は自由に使うことが出来ましたが、法人となると制限されてきます。

会社へ入ってくる資金は会社の代表であっても個人的に使うことが出来ず、あらかじめ決めた役員報酬の額しか受け取ることが出来ないので注意しましょう。

社会保険料の支払いが増える

法人化すると社会保険と呼ばれる健康保険や厚生年金保険へ強制加入となり、経営者自身・従業員含め支払わなければなりません。会社として納める保険料も考慮しなければなりません。前述のメリットと表裏一体となっています。

損金計上に制限がある

交際費等なんでも経費として計上できるイメージがあるかもしれません。それは所得税の場合に業務上必要であれば損金として計上することが出来ましたが、法人税の場合には一部の金額を損金として計上出来ない可能性があります。

こちらも先程述べたメリットと表裏一体となっているのでしっかり法人化前にどこまで経費として使えるのか税理士の先生等に聞いておきましょう。

年間の所得が900万円を越える人はアパート経営を法人化しよう

ここまで法人化のメリットを主としながらもデメリットも併せて説明してきました。

やはり、年間の所得が900万円を越えている場合、アパート経営を法人化したほうがお得な可能性が高いです。アパート経営を法人化すると、役員報酬や経費を使って大幅な節税をすることができます。

ただし再度の説明になりますが、会社を設立すると、赤字でも法人住民税等を納める必要があるため、最低限の資金力や経営の安定化が必要不可欠です。

不動産投資の世界では財務上黒字であっても家賃収入からローン返済や維持管理費等を引くと実際には赤字になってしまう場合や、黒字であっても実際の収入よりも税務上の収入の方が増えてしまう場合があります。

このような場合には個人でも法人でも支出が増えてしまいますので、現金が不足して債務返済が滞ってしまい、黒字倒産してしまうなんて事にならない為にも、基本的な事ですが家賃収入を使い過ぎずにしっかり現金を積み立てておきましょう。

場合によっては損をしてしまう事もやはりあるので、現在の収支や不動産業に割ける時間、今後の事業計画などを考えた上で、時には周りの方や士業の先生等に相談してアパート経営を法人化するかどうかをしっかり見極めましょう。


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