賃貸併用住宅

利回りに捉われては失敗する!賃貸併用住宅のメリットとデメリット

賃貸併用住宅

賃貸併用住宅は賃貸収入によって住宅ローンをまかなうことが可能であり、土地の高いエリアでもマイホームを建てられるという謳いで注目されています。

しかし賃貸併用住宅はオーナーと入居者がそれぞれ同じ棟で暮らすという性質であるため、リスクを知っておかないと経営に失敗してしまうかもしれません。

今回は、賃貸併用住宅の経営で失敗しないために賃貸併用住宅のメリットとデメリットをそれぞれ解説します。

賃貸併用住宅のメリットは3つ

賃貸収入

賃貸併用住宅は経営が軌道に乗れば賃貸収入による一定の不労所得が得られる点に加え、住宅における余剰スペースの有効活用としても注目されています。

賃貸併用住宅のメリットは以下の3つです。

1. 賃貸併用住宅オーナーは平均59.4歳!本業の収入が減収・早期リタイヤしても家賃収入によって家計を支えられる

万が一病気や怪我などで働けなくなり本業の収入が減ってしまった際でも、賃貸併用住宅を営んでいれば家賃収入によって家計を支えることができます。

さらに老後など勤め先を退職した際においても入居者が途切れなければ継続的な家賃収入が見込めるため、将来に備えて副収入の財源を確保するという目的でも有効な選択肢です。

勤め先で定年まで働くという概念が薄れつつある昨今、生活に余裕を持たせるために賃貸併用住宅の建設を検討しているシニア層も多いのではないでしょうか。

実際に賃貸併用住宅のオーナーは平均年齢が高い傾向にあり、全国の住宅建築主の平均年齢が42.8歳であるのに対し、賃貸併用住宅オーナーの平均年齢は59.4歳とされています。[注1]

2. ライフスタイルの変化に合わせて住宅をプランニングできる

賃貸併用住宅はライフスタイルの変化に合わせて住宅を適宜なモデルに改装することが可能です。

例として以前は二世帯住宅だったケースで片方の世帯が住宅を離れた場合や子どもが独立したケースなど、様々な理由で余剰な居住空間が発生してしまった際は賃貸併用住宅として活用する余地があります。

居住スペースを現在の家族が暮らすに相応しいキャパシティへと縮小することで、余った居住空間を賃貸住宅として活用可能です。一方、すでに賃貸併用住宅を営んでいていた場合は後から二世帯住宅へと改装することもできます。

また昨今の住宅需給として、子育て世帯は広い居住空間のある住宅を求めている傾向にあるが条件とマッチする物件が少ないとされています。

そのため広い居住空間が余っている住宅では、賃貸併用住宅として居住空間を貸し出すことで子育て世帯のニーズを満たすことが可能です。貸し出す側は長年暮らした住宅から離れることなく、余っている居住空間を有効利用できます。[注2]

3. 一定の要件を満たした物件であれば住宅ローンを低減できる

賃貸併用住宅は家賃収入によって住宅ローンを工面することが可能であり、さらに一定の要件を満たした物件であれば住宅ローンが控除される住宅借入金等特別控除が適用されます。

住宅借入金等特別控除の適用条件は国税庁によって定められており、個人が住宅ローンでマイホームを新築・増改築などした際に次の条件を満たしている場合は住宅ローンが控除される制度です。[注3]

  1. 物件を新築または取得した日から半年以内に居住し、居住した年の12月末日まで継続的に住んでいること。
  2. 控除をうける年の合計所得金額が3,000万円以下であること。
  3. 物件の床面積が50平方メートル以上で、そのうち2分の1以上がオーナーの居住空間であること。
  4. 物件を新築または取得するために10年以上のローンを組んでいる、または一定の借入金か債務を負っていること。
  5. 物件に居住した年および前後2年の間に長期譲渡所得の課税にまつわる特例をうけていないこと。

控除額の上限は年度によって異なりますが条件を満たしている場合は住宅借入金等特別控除が適用され、住宅ローンの年末残高1%を所得税額から控除することが可能です。

住宅ローンは家計の収支で大きなウェイトを占めがちですが、住宅借入金等特別控除の制度を利用することで負担を軽減できます。

賃貸併用住宅のデメリットは3つ

入居者募集

賃貸併用住宅は継続的に一定の入居者が確保できれば収支のプラスとなりえますが、入居者がまったく現れなかった場合は厳しい経営となってしまいます。

賃貸併用住宅のデメリットは以下の3つです。

1. 賃貸スペースが限られるため賃貸住宅よりも2%近く利回りは低い

賃貸併用住宅は1棟にオーナーの家族が暮らす居住スペースと賃貸スペースが共存する構造であり、賃貸に充てられるスペースが限られるため高い利回りは見込めません。

面積が50〜80平方メートルかつ戸数が50戸ほどのファミリー向け賃貸住宅における利回りは、政令指定都市12箇所の各利回りをもとに計算すると平均約5.42%という結果でした。[注4]

一方で賃貸併用住宅の利回りは3〜4%前後とされているため、一般的な賃貸住宅を経営するよりも利回りが低い傾向にあります。さらに先述した住宅ローン控除の適用条件を満たすためには、物件の床面積が半分以上オーナーの居住空間でなくてはいけません。

よって賃貸の床面積が半分を超えてしまうと控除がうけられず、一概に賃貸の戸数を増やせばいいとは限らないのです。そのため高い利回りを得たい場合、賃貸併用住宅は不向きといえるでしょう。

2. 騒音や悪臭などの入居者トラブルが起きるリスクがある

例として自身と異なるライフスタイルの入居者が現れた場合、オーナー含め家族が寝る時間であるにも関わらず入居者が部屋を歩き回る音やテレビの音漏れといった生活音に悩まされるかもしれません。

さらにゴミやタバコによる悪臭問題など、賃貸併用住宅は入居者と同じ棟で暮らすことによるライフスタイルの違いからトラブルに発展してしまうリスクがあります。

騒音による入居者トラブルを防ぐためには間取りの設計が重要です。ファミリー向けの賃貸において生活音が発生しやすい箇所はリビングであるため、リビングの直下にあたる下層の部屋は寝室とならない設計を心がけましょう。

ゴミやタバコによる悪臭問題を防ぐためには、ゴミは回収日当日の決められた時間以外に出さない、全室禁煙にするなどして入居者トラブルが起こらないようにガイドラインを示す必要があります。

3. 入居者が現れなかった場合は家賃収入が得られずローンが負担となる

立地条件や賃料設定などがターゲットの層とマッチしていない場合、なかなか入居者が現れず安定した賃貸収入が得られません。

賃貸収入が得られないと住宅ローンが支出の痛手となってしまうため、賃貸併用住宅の経営を行う際は常に一定の入居者を確保して空室リスクを低減しなくてはいけません。

安定した賃貸収入が得られて毎月の住宅ローンを差し引いてもプラスがでる賃貸併用住宅は、賃貸の間取りがターゲットと明確に合致している場合や駅の近くといった一部の物件に限られます。

入居希望者が相次いで常に満室となるだろうと甘んじて賃貸併用住宅の経営をスタートすることは危険であり、空室が続いてローンや管理費を工面できず失敗してしまうかもしれません。

賃貸併用住宅の経営は希望的観測を避けて長期間の収支計画を立てる

収支計画

マイホームを賃貸併用住宅にすることで、本業と賃貸収入の二重所得が得られて生活に余裕がでるとは限りません。

入居先を探している人の目線からすると賃貸併用住宅はオーナーと同じ棟で生活する物件であるため、間取りを気に入ったとしても「オーナーに気を遣いそう」と入居を避けてしまうケースがあるとされています。そのため希望的観測は避け、空室が続いたとしても物件を維持できるように余剰資金を確保して長期間の収支計画を立てましょう。

また賃貸併用住宅は売却時に買い手が付きづらいという点にも注意する必要があります。仮に物件を手放す際は希望の価格で売却できず、安価に取引せざるを得ないかもしれません。

[注1]一般社団法人住総研:資産運用型「賃貸併用住宅」の利活用によるコミュニティ形成[pdf]
[注2]公益財団法人日本賃貸住宅管理協会:賃貸併用住宅を利用した住宅需給のミスマッチの解消について[pdf]
[注3]国税庁:住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
[注4]一般財団法人日本不動産研究所:第38回不動産投資家調査[pdf]


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