基礎知識

商業施設・オフィス・医療施設の活用メリット・デメリットは


土地活用を考えたとき、土地オーナーの多くはアパートやマンションの建設を検討します。

建設するパターンの土地活用では、アパート・マンション以外にも駐車場、コンテナトランク、高齢者施設、そして商業系施設もあります。

今回は、商業系施設を建設するときに知っておきたい情報をお伝えします。

1.商業系施設の土地活用

(1)商業系施設の種類

商業系施設には、コンビニエンスストアのような小型の店舗から、ショッピングセンター、ホームセンター、パワーセンター、アウトレットモールのような大型施設までさまざまな種類があります。

※パワーセンター:郊外に立地しており、ディスカウントショップなどといった安売り店が集合したショッピングセンター。 これは1980年代後半よりアメリカで普及した業態であり、土地の安い、幹線道路沿いに立地し、車で訪れる顧客を対象としている。 -wikipedia参照

それぞれの種類ごとに商業コンサルタントや出店専門のアドバイザーがいて、テナント出店決定権限を持つ開発担当役員と強力なネットワークを組みます。

土地オーナーは、自ら商業系施設を建設したい!というよりは土地をみた開発担当者から声を掛けられたことがキッカケで検討し始めるケースが多いです。

【商業系施設の種類】

コンビニエンスストア 24時間営業 食料品等をセルフサービス式で小売
ショッピングセンター 大型店舗を核に全てのショッピングが1か所でできる大型店舗
パワーセンター 家電・衣料・玩具等の業種別にディスカウント店集合の大型店
アウトレットモール 高級ブランドの商品等を大特価で売る専門店が集合の大型店舗

 

(2)商業系施設の建設資金調達

商業系施設の建設資金調達には、大きく3つの方式があります。

通常の賃貸方式、リースバック方式、事業用定期借地権方式です。

①通常の賃貸方式

土地オーナーが建設資金を金融機関から借り入れて商業系施設を建設し、テナントに賃貸する方式です。

テナントの誘致を先行させ、キーテナントのニーズにあわせて仕様等を決めていくというところに特徴があります。

賃貸マンションを建設するのとほぼ同様の資金繰りとなります。

 

②リースバック方式

「リースバック方式」は「建設協力金方式」ともいわれ、土地オーナーが土地を探している企業から建設資金を無利子で借入れ、建物を土地オーナー名義で建築し、その企業に賃貸する方式です。

借り入れた建設協力金(保証金)は、毎月の賃料の中から企業(事業者)に返済していきます。

 

③事業用定期借地権方式

「事業用定期借地権方式」は、土地を20年程度の一定期間貸して地代を受領する方式です。

事業用定期借地権の設定契約は公正証書で行い、契約の更新はありません。

土地の借地人が商業施設を建設します。

 

(3)各方式のケーススタディー

ロードサイドの300坪の土地に、商業施設を2億4,000万円で建設する事業で各方式について考えていきましょう。

①通常の賃貸方式の場合

土地オーナーが2億4,000万円を金融機関から元利均等・金利4%、期間20年で借入し、商業施設を建築したとします。

年間の賃料収入3,600万円(月額300万円)年間返済金1,750万円、管理費等650万円とすると、収入から返済金と管理費等の経費を差し引いた手取り金は年間で1,200万円になります。

 

②リースバック方式の場合

土地オーナーが2億4,000万円の建設保証金(無利子)を受領して、商行施設を建築します。

契約期間は、20年。

年間の賃料は2,400万円(月額200万円)、保証金返済年間1,200万円(月額100万円)とすると、収入から返済金を差し引いた手取り金は年間で1,200万円となります。

(建物管理費等は賃借人負担となり0円)

 

③事業用定期借地権方式

事業用定期借地方式で20年間土地を賃貸し、地代を年間1,200万円(月額100万円)とすると、土地オーナーの年間の手取金は1,200万円になります。

 

【各方式の事例比較】

種別 賃貸方式 リースバック方式 事業用定期借地権方式
建設工事代金 2億4,000万円 2億4,000万円 0円
借入金 2億4,000万円 0円 0円
建設協力金(保証金) 0円 2億4,000万円 0円
建物所有者 土地オーナー 土地オーナー 事業者
収入(年間) ① 3,600万円 2,400万円 1,200万円
借入金返済額(年間) ② 1,750万円 0円 0円
建設協力金返済金(年間) ③ 0円 1,200万円 0円
建物管理費等 ④ 650万円 0円(事業者負担) 0円
差引収入 ①-(②+③+④) 1,200万円 1,200万円 1,200万円

 

(4)各方式のメリット・デメリット

各方式のメリット・デメリットを検証してみましょう。

①通常の賃貸方式の場合

◎メリット

・土地の評価は貸家建付地、建物の評価は固定資産評価額となり、相続税の節税効果が期待できる。

・建物は減価償却するので相続税対策になる

・利息の返済、減価償却費を所得税の申告の際に経費として計上できる

・法人化して運営すれば収入を家族に分散することができる

 

◎デメリット

・テナントが撤退すると収入が減少し、返済金の原資確保に苦慮する

・時代の変化でテナントが撤退する可能性がある

・経年劣化で賃料が低下する可能性がある

・大規模修繕費用の確保が必要になる

・建物の固定資産税はオーナー負担となる

 

②リースバック方式の場合

◎メリット

・建設工事代金を事業者が負担するのでリスクが少ない

・事業者が負担するので空室リスクがない

・土地の評価は貸家建付地、建物の評価は固定資産評価額となり、相続税の節税効果が期待できる

・減価償却費を所得税の申告の際に経費として計上できる

・法人化して運営すれば収入を家族に分散することができる

 

◎デメリット

・事業者が中途で撤退すると、建物に汎用性がないために、解体することになり解体費用を土地オーナーが負担しなければならないケースがある

・建設協力金は中途解約では返済する必要がなくなるが、場合によっては一時所得として課税されることがある

・建物の固定資産税はオーナー負担となる

 

③事業用定期借地権方式の場合

◎メリット

・土地オーナーは資金の用意が全く不要

・安定的な地代の収受が期待できる

・公正証書で契約するので契約上の安全性が高い

・保証金を預かることがあり、期間中運用ができる

・期間満了により、建物を解体してから更地で変換される

 

◎デメリット

・建物は事業者のものなので転貸される可能性がある

・地代の不払いや建物の取り壊し不履行などに備えて権利金、保証金、敷金などの名目で一時金を預かることがあるが、この一時金に課税されることがある

・地代の収入は建物を建設して受け取る賃料に比べて低い

・土地に定期借地権を設定しても、年月の経過とともに借地割合は低下し、期間満了時には借地権は0となり、相続税対策の効果がなくなる

【各方式の主なメリット・デメリット】

種別 賃貸方式 リースバック方式 事業用定期借地権方式
メリット 相続税の節税効果 建設資金不要 自己資金不要
  減価償却費で所得税の節税効果 空室リスクなし 安定的な地代収入
  法人化して所得を家族に分散 相続税の節税効果 期間満了で更地変換
デメリット テナント退去対策 中途解約で建物解体費負担の可能性 ・建物の転貸の可能性
・地代が低い
  建物の経年劣化で賃料低下 中途解約で建設協力金への課税の可能性 権利金・保証金・敷金等への課税の可能性
  建物の大規模修繕費用の確保 建物の固定資産税負担 借地割合の低下で相続税対策効果がなくなる
相続時の土地評価 貸家建付地 貸家建付地 (定借の)底値割合

 

2.オフィスビル・ソシアルビル系の土地活用

(1)オフィスビル系の土地活用

①オフィスビルの立地

駅前広場に立地し、商業地域で容積率が400%、500%などの場合、オフィスビルとしての土地活用も選択肢に挙げることができます。

立地が良ければ高額な賃料でも借り手がつき、広いスペースをまとめて契約してもらえるなど、土地オーナーにとってとても魅力的な事業です。

ただ、長いデフレ期間を経て企業は経費節減を進め、より安くコンパクトなオフィスを志向する傾向が強まっています。

東京では新規オフィスビルの建築も活発だったことから需給バランスが崩れ、空室率の上昇が心配され、オフィスビルの2012年問題などともいわれた時期もあります。

全体として賃料も低下傾向がみられたものの、現在は底堅さもみせており、引き続き有望な事業であることに変わりはありません。

 

②オフィスビルの設備

従来、大きな差がなかったオフィスビルの設備水準は、近年、床面積の規模や空間構成、環境性能、セキュリティ対策、省エネ性能、電気設備容量など、大きく変化しています。

土地活用を検討する際は、一定の汎用性を確保したうえで、ターゲットとする企業を設定し、ビルの設備に“メリハリ”をつけることが重要です。

設備は、高水準であるほどテナントが決まりやすいわけではありません。

オーバースペックな設備を導入して賃料が高くなっては逆に敬遠されてしまいます。

ターゲットとするテナントにとって“過不足のない”設備にすることがポイントとなるのです。

必要な基本スペックは確保しつつ、テナントが求める設備だけを取捨選択していかなければなりません。

 

③テナントのリーシング

オフィスビルのテナント企画は、「誰に対して」「どのような設備のフロア」を「いくらの賃料で」「いつ頃」賃貸するのかということです。

この中で、特に大切なのは、「誰に対して」です。

ターゲットを明確に定めたうえで、ビルの企画を立案した段階からリーシング活動を開始しなければなりません。

ターゲットテナントへのプレセールス、予備的なアプローチを早い段階から緻密に行うことが必要です。

テナントが決まれば、これまでに決定していたビルのコンセプトや設備も柔軟に変更してテナントニーズに合わせられます。

 

④ビルの建設資金調達

賃貸マンションやアパートの建設は、需要の裾野が広いことから、金融機関も前向きでアパートローンなどの制度も充実しています。

ところが、ビル建設では稼働率の予測が難しいので、融資を受ける際の金融機関の審査も厳しくなります。

そこで、ビル計画の段階からテナントリーシングを行い、ビルの着工時点ではかなりのテナントが内定しているという状況を作り出しておくことが融資の面でも有効です。

これからのビル計画では、まず「テナントの誘致が先行する」という原則を土地活用オーナーは理解し、考えていくことが必要になります。

 

(2)ソシアルビル系の土地活用

①ソシアルビルの立地

ソシアルビルとは、飲食店や居酒屋、バーなど水商売系のテナントが入居する雑居ビルの一種です。

繁華街に近い土地ならオフィス系や商業系よりもソシアルビル系の土地活用がふさわしい場合があります。

立地は限定されますが、高収益を期待できます。

 

②テナントのリーシング

ソシアルビルのリーシングを専門にしているコンサルタントや仲介会社があるので、土地活用オーナーはその専門家とチームを組んでリーシング活動を展開します。

ここでも、テナント誘致を先行させるのが鉄則で、平面プランや基本設備が決定したら、ただちにリーシング活動に入ります。

保証金や敷金、権利金の多寡、転貸などの契約条件や解約後の原状回復など、ソシアルビル特有の商慣習もあるので、土地活用オーナーはソシアルビル専門のコンサルタントと連携しながら事業計画や契約書を作成します。

 

③工事区分

ソシアルビルでは、建物本体工事と並行して、工事の後半に、テナントによる内装工事が行われます。

内装工事で重要なのが、建物オーナーとテナントでかわされる「内装工事区分」です。

具体的に見ていきます。

a.A工事(甲工事)

建物の本体工事や共用施設、メーター等の機器で、建物オーナーの負担になります。

 

b.B工事(乙工事)

テナントの要望により行う、建物本体の仕様や設備の変更工事です。

費用負担はテナントで、設置工事は建物オーナーが行います。

 

c.C工事(丙工事)

建物オーナーの承認を得て、テナントが費用負担して設計・施工する工事です。

【工事区分】

工事区分 A(甲)工事 B(乙)工事 C(丙)工事
費用負担 建物オーナー テナント テナント
資産区分 建物オーナー 建物オーナー(原則) テナント
設計者 建物オーナー 建物オーナー テナント
施行者 建物オーナー 建物オーナー テナント
管理区分 建物オーナー テナント テナント
具体例 法規に基づく排煙装置 排煙装置の経路変更や移設工事 厨房設備

 

5.医療系施設の土地活用

(1)医療モール

医療モールとは、ひとつの低層ビルやまとまった敷地内のタウンハウスなどに診療科目が異なるクリニックが集結した複合医療施設のことです。

たとえば、内科・整形外科・耳鼻咽喉科・眼科などが一か所に集まれば、複数の診療所で各専門医の治療を受けることができます。

調剤薬局や介護施設を併設すれば利用者の利便性がアップします。

多くの利用者が見込まれる都市部での展開はもちろん、広い駐車場を確保できれば郊外の立地でも成立する可能性があります。

土地活用開始時に、交通アクセスや人口動態をマーケティング調査したうえで、医療系のコンサルタントや不動産仲介会社と組んで医療モールの事業計画を策定します。

土地オーナーは、所有土地に建設資金を調達し、医療モールを建設し、医師に賃貸します。

早期に開業医が決まれば、その要求にマッチした医療施設を建設することもできます。

 

(2)ドクターズレント

①ドクターズレントと開業医

ドクターズレントとは、土地オーナーが所有する土地に診療所を建築士、開業を希望する医師に賃貸する「賃貸医院」です。

医師が土地を購入して医院を建築すると、初期投資だけでだいたい1億円くらいかかります。

また、「ビル内診療所」は初期投資は安く抑えられるのですが、診療スペースや駐車場の問題、集客力不足など、さまざまな問題があります。

その点、土地オーナーが「戸建診療所」を建設してドクターに賃貸すれば、ドクターはビル内診療所並みの開業資金で独立した医院を開業できるのです。

 

③ドクターズレントのメリット

立地にもよりますが、賃貸住宅より高い利回りが期待できます。

また、長期契約が一般的なので、空室の心配が少ないのも魅力です。

なお、「病院・診療所」は事務所や住宅より償却期間が短いので、所得税の軽減効果が高いのも魅力です。

さらに、地域社会に貢献する施設として近隣住民から感謝されることもあります。

 

まとめ

この記事では、土地活用プランの中では少し珍しい、商業系施設の建設についてお話しました。

自宅を解体して土地活用を検討する場合の土地オーナーには合わないかもしれません。

過去に、「この駐車場をコンビニにしませんか?」だとか「ここに◎◎ショップというホームセンターを建てませんか?」というようにテナント誘致の声掛けがあるような広めの土地を所有している方は、検討材料になると思います。

自分の持っている土地で、どんな活用ができるのか、どれくらいの建設費がかかるのか、どれくらいの時期で完成するのか、どれくらい利益が出るのか・・・等、土地活用について相談したい方は是非 土地活用の窓口 までご相談ください。

 

 


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